井上千鶴の言葉

井上千鶴のことば

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福山市沼隈・神勝寺

梅雨空の下、広島県福山市の山間・神勝寺を訪れました。江戸時代末期、旧賀陽宮邸にあった
総欅造りの立派な門を1967年天心山神勝寺開基の折に移築されたという総門をくぐると一気に
広々とした庭園が目に飛び込んで来ました。周囲を山に囲まれた少し平坦な部分の中央に池を
配し左右には伽藍が点在しています。ところが、京都や奈良にある寺院とは何か雰囲気が違います。
自然と一体化したメルヘンな藤村照信氏設計の松堂・須浜を配した池の右側には室町時代の重厚な
民家風の含空院(築350年以上経た萱葺きの建物)と、その横には、古代の浴室が在ります。
そこから、なだらかな山へ登るように回遊式の大庭園が続き山野草を愛でながら砂地と石、木で
整備された優しい道を進みます。所々に禅道場、鐘楼、有名寺院の多宝塔かと見紛う程に立派な
模倣の建造物や、現在では史料にのみ見える千利休 縁りの茶室を復元した(一来亭)や、これもまた
中村昌生氏の設計で古図を手がかりに再建された秀路軒 等々が、風景と溶け込むように静かに
佇んでいます。雨が継続的に降りしきる中、苔と木々の緑を堪能して、山を一巡しました。
その間に五観堂では、雲水の僧侶が作られたのか、太い湯だめの うどんと簡素なお菜を清々しい
庫裡でいただき、最後に総門の左手上方にある洸庭へと向かいました。それまでは、全体的に
所謂、禅、茶の世界=日本そのものを自然でまとめるという感じに思えたのですが、洸庭へ入ると
全く別世界に誘われたかのような衝撃に襲われます。
先ず、建物のフォルムとマテリアルのクオリティの高さに驚きました。そして、その中で30分間
座ると、又、これが何とも言えない異空間に自身を置く初めての経験が新鮮そのものでした。
こうして3時間程の濃密な時間を過し、含空院でお茶をいただいて、充実した旅を終えました。
門をくぐり初めて感じた、所謂、京都・奈良の寺院との違いは日本の精神文化を禅・茶・美術・
建築などを通して、日本のみならず海外の多くの人々に伝えようとするその姿勢だと感じました。
今回、神勝寺を訪れ、古い物も現在の物もそこに通じる物は、時代を越え、国境を越え人種を問わず、
美しい物、精神性の宿る物は、一定の人々の理解を得るものであると考えます。
また、是非もう一度訪れたいと思いました。




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